忘れてはいけないこと

居着かないこと。


「居着き」とは、武術概念で同じ場所・時間に居続けること、あるいは執着すること。


音楽演奏では、自分の出した音に居着いてはいけない。放たれた音はすでに「過去」であり、「過去」にとらわれる人間の演奏は常に、遅れ続けることになるからだ。


卓球、その他のスポーツでも、自分の行ったプレイや、相手の攻撃に居着いてはいけない。どんなにすばらしいプレイであったとしても、どれほど強烈なダメージを受けたとしても、それらは一度たりとも「今」となったことのない「過去」つまりは「幻影」に過ぎない。そこに居着く人間は、平常心でプレーすることなどできない。


ゲームの支配者は、常に過去に縛られない「現実」を生きている。


「現実」を生きるものだけが、「現実」を楽しむことができる。


これほど当然のことが、「脳化」した僕たちには、途方もなく難しいことだったりする。