少子化対策について

柳澤厚生労働相が素っ頓狂な発言を繰り返しているおかげで、
いまだに「少子化対策」というものが国家プロジェクトで展開されていることを知った。

柳澤氏に辞任を要求する女性議員の皆様の口ぶりを聞いていると、彼女らも少子化対策を行うことそのものには反対ではないらしい。

不思議だ。

どうして「少子化」なんていう、実態も、その害もよくわからない鵺のようなものに対して「対策」などという政治語をくっつけたわけのわからない言葉に、みな追従しているのだろう。

いや、私だって、「少子化だ! 大変だ!」とおっしゃっている方々の議論をまるで理解していないわけではない。わからないのは、「子供が減ったからといって、何か問題でも?」というオルタナティヴを提示しようとする人が、政治家にも、在野の論客にもほとんど見られない、ということだ。みな、「少子化」が問題である、ということについては同意署名しているように見える。

少子化は、政治課題としては経済問題として取り扱われる。要するに、近い将来、定年退職された老人が圧倒的に増え、若年層が減る、逆三角形型の人口構造に変化すること。そのことによる国家財政破綻といったことが懸念されているわけだ。

で、その対策というのは、女性が安心して子育てをできる社会制度をつくり、国家的に子育てをバックアップする、というものであるようだ。


変だ、と思う。というか、変だ、と思わない人があまりいないことが不思議でしょうがない。


もしも、人口構造がそのように変化していくのであれば、一番簡単なのは、子供を増やすことではなく、定年退職者の皆さんに、なんらかの形で納税者になっていただくことである。ワーキングシェアを推進することのほうが、誰がどう考えたって簡単だし、同意もしやすいはずだ。少なくとも、「あなたは若い女性なんだから、いまのうちに適当な男とセックスして子供を生みなさい。経済的には支援するから」なんていう無茶な要求よりは現実的な政策だ。

そもそも、今からがんばって子供を生んでもらっても、彼らがきちんと納税するのは順調にいっても18年後だし、下手をしたらまるで役に立たない連中が誕生してしまう可能性だってある。あまりに未知だし、失礼な話じゃないかと思う。


子供を増やすために子育ての社会的バックアップを充実させよう、というのも変だ。北欧を真似ているつもりみたいだが、世界的に人口爆発が生じているのは、圧倒的に後進国である。社会保障が充実した国ほど、出生率は低い。大量に子供を生んでほしければ、日本が経済的に破綻すればよい。あっという間に、戦後の日本にたくさんいたような大家族が出現するだろう。


勢いで書いてしまったのでとりあえずアップします(笑)