年金問題

年金問題について、私は

・5000万件だかなんだか、とんでもない数の台帳が宙に浮いており、
・その処理についてのコンピューターシステム、人員配置の目処が立っておらず、
・年金が適正に支払われない、あるいは支払われていない人間が大量にいる可能性が明らかとなった

という程度のことしか知らない。

とんでもない話だと思うし、メディアが騒ぐのも無理がないとは思う。

ただ、政府与党、あるいは野党民主党、さらには当事者の社民党が打ち出している「対策」、これはいただけない。


彼らは、膨大な数(しかも全体量の見えない)未記帳の台帳を集計し、正確な年金記録を回復すること、台帳も何もかも存在しない人への対応もなんらかの形で行うことなどを主題に対策を検討している。政府与党も民主党も、時期ややり方に違いはあるものの、この点では大同小異である。


これはちょっとよろしくない、と私は思う。

これが一般企業で生じた不祥事だったとしたら、担当常務はどういう判断をくだすだろうか? たとえば預かっていた証券情報を大量紛失した証券会社は、顧客に対してどう対応するのか。

簡単だ。彼らは、損害を受けた消費者の怒りを納めるべく、保証金なり、代替の有価証券商品で代替をしようとするだろう。データベースの穴を埋めるのには膨大な労力が必要であり、しかもその穴が埋まるかどうかの見通しが立たないとき、私企業は「穴埋め」にあてるコストを、顧客への賠償に使う。つまり、「正しい情報回復」ではなく、損害賠償での解決をはかるわけだ。


公的機関である、社会保険庁にはこういう発想はないのかもしれない。しかし、一度くらいは、「該当者全員に無条件で支払った場合」と、「きちんと集計した場合」の費用対効果を試算してみてもいいのじゃなかろうか。自分たちがやってきたことの重さを知る意味でもね。